国旗

拳銃ガードマン編 (2002/8/17)


●ピッツバーグからサンホセまで

 車で空港まで行って停めておくことも考えたが、面倒なのでバスで行くことにした。バス停までいったところで、妻が大学の学生証(英会話学校に行っているので学生証がある。ちなみに私もだ)を忘れてきたことが発覚。学生証があるとバスがタダになるのだが、まあいいやとそのまま出発する。昼過ぎに空港に到着して、E-チケットでチェックインする(最近はいつもこれだけど楽だねえ)。9.11が近いせいか、預け入れ荷物の検査が思いのほか厳しく、あっちこっち引っ張り回された上でようやく搭乗手続きを終えた。

 今回乗るのはアメリカン航空。ハブ空港のひとつであるダラスで乗り換える。ピッツバーグから3時間弱のフライトで到着すると、さすがテキサスという感じで、スペイン語の看板も多いし、お土産なんかもなんだかメキシコ風だ。待ち時間が長いので、フードコートで昼食をとったりしながら(あれ、さっきピッツバーグ空港でもパンを食べたような気がするが…)時間をつぶしているうちに、ようやく出発時刻になった。アメリカの出国は何にも手続きがないので、国内線感覚で搭乗し、あとはのんびり飛行機の旅である。4時間ちょっとのフライトだが、いっちょまえに機内映画もあり、ちゃんとした機内食も出て、一応それなりに国際線らしさを保っていた。ほどなく、午後10時前にサンホセ国際空港に到着。ピッツバーグとは1時間の時差だが、コスタリカはサマ−タイム制を取っていないので、実質2時間の時差ということになる。ということは体内時計的にはボチボチ12時ということか。とにかく初めてやってきたコスタリカという国に、ちょっと緊張しながら足を踏み入れた。

 入国手続きをすませてゲートを出ると、深夜だというのに凄い人だかりである。おおお、これはアジアのノリではないか。観光客を待ち構える地元旅行業者や、出迎えの一般人、それにタクシーやら何やらの客引きがごったがえしている。が、我々はこんなものにつかまるわけにはいかない。一路レンタカー会社を目指すのだ。でもその前に両替と思うが、両替所も見当たらないし、そんでもって我々の目指す「マパチョ・レンタカー」の看板もない。おろおろしながらも、声をかけてくるタクシー運転手の中で、比較的いい人そうな人に聞いてみると、「おーおーそれならこっちだ」という感じで、マイクロバスの兄ちゃんを教えてくれた(なーんだいい人じゃんか)。さっそくマイクロバスに乗り込む。「えーと、その前に両替したいんだけどー」「ん?両替?もうしまっちゃったよ。空港で両替するんだったら明日だね」「明日、街の銀行でも両替できるかい?」「明日は日曜だから銀行は休みだよー」ってな会話をかわしつつ、マパチョレンタカーの事務所に向かう。両替の件は、まあ後で考えよう。とりあえず英語が通じているのでそれほど焦りはない。

 事務所につくと、ごく普通にレンタカー貸し出しの手続きをする。で、今日はどこに泊まるのかと聞かれて、ホテル・ブリタニアだと答えると、道順はわかるかと聞かれた。うーんよくわからんので地図で教えてくれ、と言うと、最初はいろいろ説明してくれていたのだが、いきなりもう一人の従業員を指し「そうだ、こいつが仕事を終えてこれから帰るところなので、ホテルまで案内してやってもいいよ。こいつの車の後ろをついていけばいい。そうするかい?」というので、渡りに船ということでそうさせてもらうことにした。見知らぬ国で、深夜の運転、しかもいきなり他の車の後をついていかなければならないということで、いささか緊張しないでもなかったが、ブツブツ行っている暇もない。

 20分ぐらい走るとサンホセの中心部に入る。うぉおおおー、これはまさしくアジアだぜ。ソウルだ。香港だ。バンコクだ(後の二つは行ったことないけど)。電飾がケバい。深夜だというのに普通の人が闊歩している。道が狭い。ちっこくてボロい車が縦横無尽に走り回っている。なんだかよくわかんないけど、ちょっといい感じだなー、と思っているうちに、どうにかホテルに着いた。マパチョの兄ちゃんがホテルの人と何か話をしている。駐車場を聞いてるのかな。戻ってきて、車はこのまま路上駐車でいいと言う。ただし、荷物は絶対に何も残していかないこと、ドアを全部ロックしておくことなど、やけに注意が厳しい。やはり危ないところなんだろうか。路上には若者が手持ちぶさたに立っているが、どうやらこいつは見張りらしい。夜通しで見張りを立てないといかんぐらいの治安なのか(まあ人件費が安いってのもあるんだろうけど)。とにかくいろいろ親切にしてくれたマパチョの兄ちゃんとはここでお別れ。ハーツやエイビスなんかよりちょっと安いからここにしたんだけど、結果的には正解だったなあ。

 さっそくホテルのおじさんに促されてフロントへ。どうやらこのおじさんも夜間警備担当らしく、フロント担当者が来るまでしばらく待たされる。チェックインのついでに両替のことを聞いてみると、ここでやってくれるとのこと。レートがよくわからないので、とりあえず5000円ぐらい替えてもらう。それからキーを貰い、おじさんが部屋に案内してくれた。部屋に入ってほっと一息、というところで気付いたのだが、このおじさん腰に拳銃をぶら下げている。おおおおお、民間人が拳銃ぶら下げてるのなんて初めて見たぜー。なんかえらいとこに来ちゃったのかなあ。

●ホテル・ブリタニアの夜

 お気付きかもしれないが、このページ(拳銃ガ−ドマン編)には写真がない。空港に着いてからホテルの部屋に入るまで、緊張し続けで写真を撮る余裕というものがなかったのだ。部屋に入ってようやく落ち着いたものの、おじさんの拳銃がいまだに目蓋に焼き付いている。土曜の夜だからかもしれないが、道路の向かいにあるバーからは若者の騒ぐ声が聞こえてくる。「何か飲むものないかなあ」そういえば部屋にはミニバーが無いので、ジュースの自動販売機でもないかとホテル内を調べてみたが、そういうものは見当たらない。もう12時近いし、ホテルの外にまで行く気にはなれないので、咽の乾きは我慢してさっさと寝てしまうことにする。部屋そのものは綺麗なので、長旅の疲れもあってあっさり就寝。


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