La parva

2. アンデススキー編 (7/20〜7/21)

●サンチアゴ市内観光

Santiago and Andes 早朝のサンチアゴ空港、いよいよ南米旅行の始まりです。とりあえず空港内では英語が通じるのでそんなに焦ることはありません。まずは手持ちの米ドルをチリペソに両替。アルゼンチンにも行くつもりなので、ある程度のドルは残しておきます。さて、それからどうしようかということで、まずはレンタカー会社のカウンターに行ってみました。本で読んだ"Las Lenas"は交通の便の悪そうなところにあるので、ここに行くとしたらレンタカーしか無いかと思ったのです。さっそくカウンターで「ここで車を借り、国境を越えてアルゼンチンに行くのは問題ありませんか?」と聞いてみました。すると相手は困ったような顔になり「国境を超えるには○○と○○が必要で、国境での手続きは××と△△と………とにかく大変ですよ」という返事です。言葉の通じない国でこりゃとても対応できそうにないので、レンタカーは即座に断念。まあ"Las Lenas"以外にもスキー場はいろいろあるし、とりあえず公共交通機関で移動することにします。そこで「地球の歩き方」の情報に従い、バスでサンチアゴ市内に向かうことにしました。

ここまでは何の問題もなく市内中心部に到着。今夜の宿すら決まっていないとはいえ、まだ朝の10時ぐらいなので、そんなに焦ることもありません。今後の予定を決めなければということで、地下鉄に乗ってバスターミナルに行ってみました。サンチアゴ市内には地下鉄が二路線だけ走っているのですが、言葉の通じない旅行者にとっては、バスよりも気楽に乗りやすくとても助かる乗り物です。さて、バスターミナルはなかなかの賑わいです。ここには沢山のバス会社が乗り入れており、それぞれが発券カウンターを設けています。そこに行き先と値段を書いたプレートがいろいろと掲げられているので、だいたいの様子は見当がつきます。ちょっと考えて、隣国アルゼンチンのバリローチェという町までのバスを予約することにしました。バリローチェというのは、サンチアゴからずーっと南下し、そこからアンデスを越えた反対側にあります。今回の旅行で行きたい中で一番遠いところで、とりあえずそこまでの足を確保してしまい、そこから少しずつ戻ってくるようなプランにしようと思ったわけです。バリローチェ行きのバスはいくつかの会社が出しているようですが、いろいろ覗いてとりあえず設備の良さそうなところに行ってみました。さあ、今回の旅行で初めての本格的なスペイン語会話です。

とりあえず「バリローチェ」と「マニャーナ(明日)」だけは言えましたが、それ以上の語彙はありません。もちろん相手の言っていることなんか全然わからず、そこからは身ぶり手ぶり+筆談に突入。ほとんどわけのわからない会話でしたが、なんだかとにかく明日の夜8時頃に出る夜行バスのチケットが買えたようです。これで旅行前半の方針が決まってひと安心。さあ次は今夜の宿探しです。

Santa Lucia 一人旅の宿というのは、基本的に安全な睡眠さえ確保されればいいので、それほど悩む要素はありません。とりあえず地下鉄で街の中心部に戻り、「地球の歩き方」に載っている安そうなホテルに行ってみました。幸いフロントでは英語が通じ、あっさりと今夜の宿が決定です。さてこれからどうしようかということで、空港やホテルで入手した各種のパンフレットなどを見てみます。するとその中に、"SkiTotal"というスポーツ店のパンフが入っているではないですか。なんかここに行けば日帰りスキーのバスなんかもありそうな雰囲気です。さっそく住所を確認し、部屋にあったイエローページ付属の地図で場所を確認します。どうやら地下鉄の終点まで行けば歩いてすぐという感じです。今日はもう昼過ぎですから、行くとすれば明日なのですが、いきなりでは不安なのでとりあえず様子を見にいってみることにしました。地下鉄を降りて歩いていくと、どうやらそれらしい店を発見。しかもここでは見事に英語が通じます。チリではまだまだスキーは贅沢スポーツらしく、その分外国人が占める割合が高いのでしょうね。明日の朝ここに来れば、板をレンタルしてスキー場行きのバスに乗れることを確認し、再び地下鉄で街の中心部に戻ります。

サンチアゴの市内には、「サンクリストバルの丘」と「サンタルシアの丘」という二つの丘があります。前者は中心部からちょっと離れたところにある割と高い丘で、ロープウェイもしくはケーブルカーで登ります。印象としては、パリのサクレクールのような感じのところです(札幌の藻岩山なんかも近いかも)。で、まずはロープウェイに乗ってこの丘へ。市内の眺めをたっぷり堪能した後は、ケーブルカーで降りてから歩いて「サンタルシアの丘」へ。こちらは街の中心部にあるちょっとした公園といった趣きで、例えば上野公園みたいな感じでしょうか(上の写真)。でも割と急な階段を一気に登るので、周囲の眺めはなかなかで、街の向こうにはアンデスの山なみを見ることもできます(ずっと上の写真)。

二つの丘をまわったところで、そろそろ長旅の疲れが出てきました。何しろ機内2連泊の後、早朝からいろいろ活動してきたわけですし、一応時差ボケもあります。デリでちょっとしたサンドイッチを買って部屋に戻り、とりあえず南米旅行一日目は無事終了です。

●いざアンデスへ

Valle Nevado 1 翌日、時差もあってバッチリ早起きし、チェックアウトの後そのままSkiTotalへ。スキー一式を借り、荷物を預け、マイクロバスに乗り込みます。人数が揃ったところで出発。いきなり凄い運転です。普通の道を80km/hぐらいで走るのですが、遅い車はバンバン追い越すし、カーブも凄い勢いで曲がっていきます。そういえば昨日空港から乗ったバスも結構荒い運転だったなあ、と思いましたが、こちらはその比ではありません。まあその分早く着くのはいいんですが、とにかくこんなところで命を落とす羽目にならないことを祈るのみです。サンチアゴ市街を抜け、しばらくするとだんだんと山道になり、カーブの連続でどんどんと標高を稼いでいきます。なにしろサンチアゴ市街からスキー場まで、標高差にして2000m以上を一気に登るわけですから、富士スバルラインや乗鞍スカイラインを上回る超登山道路なわけです。それを相変わらず80km/hで飛ばし、出発から1時間強でLa Parvaスキー場に到着しました。とにかく帰りのバスを逃したら大変なことになるので、運転手に拙いスペイン語で「ここ、4時30分、OK?」と繰り返して確認し、どうにか安心して、さあいよいよ滑りに行きます。

Valle Nevado 2 このあたりには、"La Parva", "El Colorado", "Valle Nevado"という三つのスキー場があります。登ってきた道から見て左から順にこの三つが並んでいるのですが、不思議なことに、両端の"La Parva"と"Valle Nevado"が山頂付近でお互いに滑り込めるようになっているのに対し、真ん中の"El Colorado"だけはちょっと歩かないと行けないレイアウトになっています。というわけで、今日は"La Parva"と"Valle Nevado"の二つを滑ることに決定。幸いリフト券は共通のようです。チリの物価はだいたい日本の四分の一ぐらいの感じですが、レンタルスキーやリフト券の値段だけは、日本とほとんど変わりません。きっとお金持ちのスポーツなんでしょうね。確かに英語を話している人が増えたような気がします。さすがに日本語を話している人は見かけませんが。

さて、準備ができたらさっそくゲレンデへ。このあたりは森林限界の上なのか、木はまったく生えておらず、非常に開放的な雰囲気です。ただ、その分コースごとの個性がわかりにくいのが欠点ですが。標高2662mのレストハウス(既に日本のどのスキー場の山頂よりも高い!)からスタートし、そこから標高差968m、山頂の標高は3630mです。凄いですね。そこからちょっと裏の方に滑り込むと、"Valle Nevado"への連絡コースになります。こちらの方がわずかに標高差は小さいのですが、メインのピークの後ろにもう一つピークがあり、レイアウトが複雑なぶんだけ飽きません。そのもう一つの方のピークが標高3670mで、このエリアの最高地点になります。これだけの標高ですから、雪質は最高。まだ誰も滑っていない斜面を見つけ、さっそく自分のシュプールを刻みました(左の写真)。そのあと道を間違えてゴツゴツと岩の出たコースに迷い込んでしまい、勢いあまってレンタルスキーの滑走面を「ガリッ」とやってしまったのですが、あとで返却するときにそのことを告げても「オーケーオーケー」と全く取りあってくれませんでした。あの板、次の日もそのまま貸したのかな。それはともかく、"Valle Nevado"のコースは少しずつ降りていくと、このスキー場のシンボルになっている、茶色い斜め屋根のホテル兼レストハウスが見えてきます(上の写真)。ここで昼食を取り、あとは周辺のコースをつまみ食いしつつ、来た道を少しずつ戻っていきます。連絡コースで"La Parva"に帰ったら、やはり左右にちょっと寄り道などしながら、少しずつ降りていってレストハウスへ。まだ旅行の実質二日目だし、無理をして怪我をしては元も子もないので、早めに切り上げて休憩します。集合時刻のちょっと前に駐車場に戻り、指定の場所で待っていたら、ちゃんと朝と同じマイクロバスがやってきました。

帰りの運転が荒いのは行きと同じですが、坂道が下りである分だけ怖さも三割増しって感じです。ともかく幸い事故にもあわずSkiTotalに帰還、レンタルスキーを返し、預けておいた荷物をピックアップして地下鉄の駅へ向かいます。途中、手頃そうなレストランを見つけたので夕食。それから地下鉄でバスターミナルへ向かうと、あとはバリローチェ行きの夜行バスに乗るだけでした。


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